テレワークとはパソコンやITを活用した柔軟な働き方を言います。例えば遠く離れた九州や北海道の従業員がインターネットを介して業務を行うバーチャルオフィスや週に1日自宅での在宅勤務・直行直帰のためのちょっとした報告書提出程度のものまで幅広く含みます。
テレワークのメリット
テレワークは子育てや介護をしながら働く従業員にとっては仕事との両立が可能な魅力的な制度ですが、他にも様々なメリットがあります。
① 在宅勤務などにより育児や介護による離職を防ぐことが出来ます。
② 通勤や移動にかかる時間を節約することが出来、労働時間を短縮することが出来ます。
③ ワークライフバランスの改善による優秀な人材の確保が可能になります。
④ テレワークを推進するにあたり、業務プロセスを見直すきっかけとなります。
⑤ 移動経費や業務仕分けによりコストダウン効果も得られます。
⑥ 従業員がタイムマネジメントを意識するようになり、生産性が向上します。
⑦ 災害時に会社に出社できない時でも、業務を遂行することができます。
テレワークに適している業務
テレワークはインターネットや電話などを介して行いますので、資料の作成や報告書の作成・企画・社内手続き情報収集など情報処理に関わる業務が適しています。
どのような業務をテレワークで行うかプロセスを見直し、テレワークで可能な業務を切りだしていきます。
テレワークの進め方
テレワークを進めるにあたっては従業員の理解、とりわけ管理職の理解が重要になってきます。まずは経営トップと管理職がじっくりと話し合うことが重要です。その上で以下の手順で進めます。
① まずはテレワークの目的を明らかにします。
② テレワークに対する社内の意見を調査します。
③ 目的に合わせて対象業務・対象者を決定します。
④ 決定した業務を社外から行うためのICTの方法を検討します。
⑤ セキュリティ面でのリスクを検討します。
⑥ 社外で業務を行う場合の労務管理上の課題を検討します。
テレワークを成功させるにはみんなでしっかり議論を重ね、週1回くらいから始め、改善を重ねながら少しずつ進化していくやり方がお勧めです。
ICT環境
テレワークを実施するにはICT環境を構築する必要があり、主に4つの方式があります。
① クラウド型アプリ方式
② 会社PCの持帰り方式
③ リモートデスクトップ方式
④ 仮想デスクトップ方式
① クラウド型アプリ方式
オフィス内外や利用端末の場所を選ばず、Web上からクラウド型のアプリにアクセスし、どこからでも同じ環境で作業が出来ます。
設備コストがほとんどかからず、アプリの利用料だけで低コストで運用できる。
データをPCにダウンロードすることできる。
セキュリティ強度は中弱
② データの持帰り方式
USBや会社で使用しているPCを社外に持ち出し、メ―ルなどを利用して業務を行う方式。
特別な設備や費用が発生せず、最も低コストで運用できる。
データの紛失やウィルスなどセキュリティ強度は弱。
③ リモートデスクトップ方式
オフィスに設置されたPCのデスクトップ環境をオフィスの外で用いる端末から遠隔操作することが出来るシステムです。
手元にある端末のディスプレイ上に、オフィスに設置された端末のデスクトップを表示したウィンドウを開いてみる形になります。
認証型USBを利用すれば手元のPCを簡単にシンクライアント化することができ、比較的低コストで高いセキュリティ強度を確保できます。
④ 仮想デスクトップ方式
オフィスに設置されているサーバから提供される仮想デスクトップに、手元にPCから遠隔でログインして利用するシステムです。リモートデスクトップ方式との違いはサーバにアクセスして利用する点です。
専用サーバや装置を設置する初期コストがかかり、セキュリティ強度は強です。
テレワークでの労働時間
労働者の労働時間が算定できる場合は、原則通常の労働時間制(1日8時間、週40時間)が適用されます。
他にもフレックスタイム制や変形労働時間制・裁量労働時間制などもありますが、実際にテレワークを実施している企業では、約8割の企業が通常の労働時間制を採用しています。
使用者は始業時間・就業時間を適正に把握しなければなりません。どうしても労働時間の把握ができない場合は、事業場外みなし労働時間制も利用することができます。
始業・終業時間の把握のほかに、休憩時間や離席時間の管理も大切になります。
介護や育児のためにテレワークを行っている場合は、突発的に仕事を中断する事あります。
在席管理を適正に行うことにより、管理者・従業員の双方の不安を取り除き効率的な作業環境を実現します。
労働時間管理や在籍離籍管理を行うには勤怠ソフトや在籍管理ソフトの導入が必要です。
教育・研修
実際にテレワークを導入するにあたっては、管理職や従業員に対し研修を行う必要があります。
主な内容は以下の事項が考えられます。
- テレワークの目的
- テレワークによる効果
- テレワーク者の注意事項
- テレワーク管理の留意点
- テレワークに使用する機器の操作方法
- セキュリティに関する事項
テレワーク規程
テレワークを開始するにあたって、就業規則変更と新たなテレワーク規程を作成します。
テレワーク規程で新たに規定する事項は以下のものが考えられます。
- テレワーク勤務対象者の範囲
- テレワーク勤務の対象業務
- テレワーク勤務の申請と承認
- テレワーク勤務時の労働時間
- テレワーク勤務時の安全衛生
- テレワーク勤務時の費用負担
以上ざっくりとテレワーク勤務の概略についての説明になります。
実務を進めていく上では更にたくさんの課題が発生しますが、話し合いの中で全て解決できるものばかりです。
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